人が死ぬ!?思い込みの力による効果の怖さを知っているか?

思い込みの力を知っているだろうか。思い浮かべそうなのが、実際には薬は飲んでいないけど、薬を飲んだと思い込むことでその効果を感じられるとかいうあれだ。

実際には薬を飲んでいないのに、症状が改善するなんて不思議なこともあるもんだ。人間には思い込むことで神秘的な力が働くのかもしれない。

この記事ではそんな思い込みの力を探求していきたい。

思い込みの効果の名前はプラシーボ

真っ先に思い浮かべたかもしれないけど、この思い込みの効果の名前はプラシーボ効果だ。

冒頭であげた例がまさにプラシーボ効果だろう。

有効成分が含まれていない薬を投与され、機序がないにも関わらず、患者は薬が効くと思い込んでいることにより、病状に改善・回復の兆しが見られること。もっぱら思い込みの力によって実際上の効果・影響が表れること。「プラセボ」などとも言う。

Weblio プラシーボ効果

思い込むだけで効果が出るなんてまるで魔法だな。人間にはどうやらそんな力があるみたい。じゃあ次に気になるのがその魔法の力はどこまで働くのかということだ。

思い込みで薬の効果を実現してくれるなら相当すごいことできそうじゃないか?

人間は思い込みで死ぬ

結論から書くと人間は思い込みで死んでしまうらしい。

人間は「思い込み」だけでも死んでしまう!

患者は、告知後、がっくりと気落ちし、みるみる体力を失い、告知された余命すらまっとうできず死にました。しかし、驚いたのはその死後のことです。実は医師の診断が間違っていたことがわかったのです。患者はがんなどにはかかっていませんでした。彼は「自分はがんで死ぬ」と信じたせいで死ぬことになってしまうのです

本当はガンじゃないのに患者は自分がガンだと思い込んでいた。そして、死んでしまった。思い込むだけで人を死にまで追いやってしまったのだ。

こんなことも書いてある。

1996年にレベッカ・フェルカーが発表した研究によれば、「自分は心臓病にかかりやすい」と信じている女性の死亡率は、そう信じていない女性の4倍にのぼったということです。

思い込むだけで死亡率さえ変えられてしまう。上記でいうとそれで死亡率が4倍だなんてもの凄い違いだ。本当は違うのに心臓病だと誤診されてしまったら大変だな。たとえ病気じゃなくてもそれだけで相手の死亡率を上げてしまうなんて。

ブアメードの実験は都市伝説かな

君が知っていそうなものに以下のようなものがあると思う。

1883年、オランダ医師団により、ブアメードという死刑囚に対して行われたと云われている心理実験。

刑の執行の日、ブアメードに対して人間は10%の血液を抜くと人は死ぬと告げ、首にメスを当てる。
実際に傷はつけておらず、床にはバケツが置いてあり、その中に水滴を落とす。

そして医師たちは一定の時間がたった時に死刑囚に10%を超える血が体外に出たと告げる。そのままブアメードは涙とともに血を流すことなく息を引き取ったという。

これは、ブアメードの血という名前で知られているけど都市伝説っぽい。

日常的に使われているプラシーボ効果

我々はパッケージに味覚を騙されている

ペットボトルパッケージによる味覚プラシーボ効果と対象者の特性

この論文に書かれているように僕らはペットボトルのパッケージによって、味わい方が違ってくるらしい。

ブランドのペットボトルに入った緑茶飲料の方がノーブランドより味覚印象評価(まろやかさ、うまさ、香りの良さ)が高くなったという。

ということは、それほど美味しいと思わない飲み物でも、高級そうなパッケージを纒わせれば、多少は美味しく感じさせられるということだ。ペットボトルだけじゃなくてお菓子や食料のパッケージにも同じことが言えそう。

値段によっても味覚は変わる

僕らの味覚はそんな大したものじゃないらしい。値段という情報で変わってしまう。

Marketing actions can modulate neural representations of experienced pleasantness

The paper provides evidence for the ability of marketing actions to modulate neural correlates of experienced pleasantness and for the mechanisms through which the effect operates.

ワインの価格が上がると味覚の愉快も上がるらしい。高いものは美味しいと感じるのはなんとなくわからなくもないが、その通り人間は価格によって味覚を操作されているということか。

逆に言えば、本当は高いものでも安い値段で売れば、それはあまり美味しくないと感じてしまうのだろうか。一体自分たちは何で味を感じているんだろうな。

嗜好品によって得られる心理的効果

嗜好品が心理的に与える影響について書かれている。プラシーボ効果とは言えないかもしれないけど、もしかしたら君の吸っているタバコや飲んでいるお酒の効果はその効果があると思い込んでいる君の思い込みによるところもあるかもしれない。

嗜好品摂取によって獲得できる心理学的効果の探索的検討

思い込みの効果を使うことはできないのか?

上記で見た通り、思い込みの力はとてつもなく強力だ。では、その力を別の方向に使ってみてはどうだろう。例えば、勉強・ダイエットなんかに適用してその力を使いこなせば相当良い効果が得られるのではないだろうか。

勉強に思い込みの力を使えるのか?

果たして勉強に思い込みの力を使うことはできるのだろうか。

以下は、脳トレの効果を期待することが、何らかのかたちで記憶成績向上に寄与することがあるかもしれない。と考えられ記された論文。脳トレ効果にどのような効果があるのかが書かれている。

Expecting effects of brain training enhances confidence ratings for false memories

脳トレ課題実施によって、プラシーボ効果のような記憶成績の向上は見られなかったが、脳トレ効果への期待が、虚記憶に対する確信度を上昇させる可能性が示唆された。

脳トレ効果への期待が、虚記憶に対する確信度を上昇させる可能性が示唆された

これが本当なら、学習活動に自信や期待を持つことはもしかしたらあまり良くないのかもしれない。

スポーツに思い込みの力を使う

アスリートの話の中で、メンタルはとても重要だという話をもしかしたら聞いたことがあるかもしれない。精神面がパフォーマンスに影響を与えることもあるだろう。

そして、そのアスリートの精神面にも思い込みの力は影響を与える。

Placebo Effect and Athletes

この論文に書かれていることは、アスリートに対するプラシーボ効果の影響だ。そして、上記ではこんなことが書かれている。

3×30-mスプリントをしている42人のチームスポーツ選手を無作為に2つのグループに割り当て、両者にはエルゴジェニックエイド(競技力の向上をサポートする手段の総称。 マッサージ、メンタルトレーニング、酸素吸入、サプリメントなど)が提供された。

そして一方のグループにはそのエルゴジェニックエイドの肯定的な情報、もう一方のグループには否定的な情報が渡された。

両方のグループで3×30mのスプリント試験を繰り返したところ否定的な情報を与えられたグループは1.57%遅くなった。

投与されているものは同じなのに、その捉え方が違うだけで本人には影響を与えてしまうのだ。

ということは上手く使えば、スポーツをしている人に良い影響を与えることもできそうではないだろうか?例えば、100m走前にただの水でも有効に聞く薬と称して飲ませればどうなるだろう。

プラシーボ効果が本当にあるのかは謎

いくつかプラシーボ効果について見てきたけど、なかなか侮れない効果だったな。だけど、そのプラシーボ効果も懐疑的な部分があるのかもしれない。

下記の実験では「一般的にプラシーボが強力な臨床的効果をもつという証拠を見出すことができなかった」と書かれている。

プラシーボには効果がない?プラシーボと無治療を比較した臨床試験

ただ、個人的には他の事例にもある通り、何かしらの効果はどこかであるんだろうなと思う。そうじゃないとここまで一般的に認知されたり、医療の現場で話題になったりしないだろう。