勉強しながら音楽を聴くことは果たして本当に効率を悪くしてしまうのか?

勉強中に音楽を聴くことって結構多いですよね。最初は音楽を聞かないでやるんだけど、気づいたら耳にイヤホンんをしているんです。でも、ここで思うのがこの音楽を聴きながらの勉強って効率どうなの?ということです。

耳で曲聴きながら目で見て勉強ってどうも効率が悪い気がしてならないです。勉強するなら勉強する方に集中した方がいいのではないかと。

そこで今回は、この勉強しながら音楽を聴くということについて見ていきたいと思う。

論文からBGMが作業に及ぼす影響を見てみる

論文なんて見なくても、その他の情報からある程度はわかりそうだけど、やっぱりそれなりの信ぴょう性のある情報が欲しい。ここではいくつか論文とその結果を見ていくぞ。

BGMが他の作業に及ぼす影響

まずはこの論文からいってみよう。

BGMの効果及び問題点の研究

この論文には、BGMの効果が他の作業にどんな影響を及ぼすかについて書かれている。そして、この論文の最後にはこんなことが書かれている。

知的作業時におけるBGMとしての音楽の利用は、今回の研究においては効果がないという結果となった

だけど気になることも書いてあるんだ。カリフォルニア大学の研究班の実験結果が書いてあるんだけど、ちょっと興味深い。

実験は大学生36人を対象とし、以下の状態をそれぞれ10分続けた後、図形認識や行列の問題を含むテストを実施した。

・ モーツアルトの二台のためのピアノソナタ ニ長調 K448を聴く

・血圧安定用の録音テープを聴く

・ 沈黙を保つ

この結果どうなったかというと、モーツアルトの鑑賞後の結果が知能指数(IQ)に換算して平均119と、血圧安定用のテープ111、沈黙の110よりも上回ったということだ。

これをみると知的作業を行う前に特定の音楽を聴くことで、作業の効率を高めることができるかもしれない可能性がある。

もし、作業前に音楽を聴くのなら「モーツアルトの二台のためのピアノソナタ ニ長調 K448」が良いだろう。

計算および記憶課題に及ぼす BGM の影響について

計算および記憶課題に及ぼすBGM の影響について : 被験者の「ながら」習慣の違いに関する検討

この論文では、大学生が普段どれぐらい音楽を聞きながら(流しながら)学習(「ながら」学習)しているかを調べた上で、普段「ながら」学習をしている被験者と、そうでない被験者に計算課題および記憶課題をさせたとき、音楽を聞かせる条件と聞かせない条件では、作業量および作業に対する情意的反応に関して、どのような違いがあるのかが書かれている。

実験方法としては、音楽を聴きながら作業する人と音楽を聞かずに作業する人に計算課題と記憶課題をやってもらったんだけど、「ながら」習慣の違いによる解答数、正答数、誤答数の有意な差は見られなかったんだって。

音楽を聞きながら勉強するのはあんまり集中できなそうな気がするけど、あんまり関係なさそうな結果だ。

「好ましい」BGMが作業効率に与える影響

「好ましい」BGMが作業効率に与える影響(第17回大会ワークショップ・発表論文要旨)

この論文も似たような実験なんだけど、こっちはちょっと違った結果を出しているぞ。

こっちの実験では音楽なし・リラックス音楽 ・好みの音楽を聞いて記憶課題・計算課題を行なった場合の結果を記している。
結果はというとこんな感じだ。

記憶課題では好みの曲を聴 取する条件で習慣によらず有意に正答数が少な く、誤答数 も多か っ た 。一方、リラックス音楽条件と音楽なし条件では有意 な差は見られなかった。また計算課題においても同様に 、習慣によらず好みの 音楽条件で誤答数が多い傾向が見られた。

ということは、自分が好きな音楽を聴きながらの作業っていうのはやめた方が良いということだ。音楽を聴くならリラックスするような音楽を聴けということですね。

 

それと、ストレスなんかの話だと自分が普段どんな環境で勉強をしているのかということも大事そうですね。

「ながら」習慣のある被験者にとっては、何らかの音楽を開きながら作業を行うことはストレスなく作業を行う上で有効であるが、好みの音楽を聴くことは、音楽に意識が向けられ、気が散ってしまうため有効ではないと考えられる。一方、「ながら」習慣のない被験者については、音楽なし条件、リラックス音楽条件で作業達成度が好みの音楽条件より高く、また唾液アミラーゼの値の結果より、音楽なし条件においてストレスが下がっている傾向が見られたため、音楽なし条件が好ましい学習環境だと考えられる。

普段音楽を聴きながら作業する人は音楽を聴きながらの作業はストレスを感じないけど、普段音楽を聴かない人は音楽を聴きながらの作業はあまり良くない。

計算課題の遂行に及ぼすBGMの影響について(2)

計算課題の遂行に及ぼすBGMの影響について(2) : BGM音楽の歌詞の理解を中心として

 本研究では、普段の学習時に音楽を聞きながら作業をしている「ながら作業」あり群と、していない「ながら作業」なし群という 2 条件、および BGM として意味の理解が容易な日本語の言語音を含む音楽(J-pop)、意味の理解ができない韓国語の言語音を含む音楽(K-pop)言語音を含まない音楽(Instrumental)という 3 条件が、4 桁÷ 2 桁の計算作業量ややる気、疲労感、作業に対する印象、提示条件に対して、どのような影響があるのかについて検討した。

日本語・韓国語・言語音を含まない音楽で違いが出るかどうかが気になりますね。

だけど、結果としては計算作業中の聴取音楽の 3 条件では計算作業量とやる気については影響を与えなかった。となっているんだよね。

うーん、結構影響出るかと思ったけど、有意な差は出なかったのか。なるほど。

勉強中に音楽は聴かない方が良いのか?

そこまで一貫性のある結果は見られなかったかもしれないが、色々調べてみてわかったこともある。

勉強中に自分の好きな音楽は聴かない方が良い

勉強中には、自分が好きな音楽は作業中にかけない方がいいということだ。好みの音楽の場合、音楽に意識が向けられ気が散ってしまうため有効ではないと考えられるということだよ。

つい自分の好きな曲を再生してしまう気持ちはわかるけどね。勉強中は抑えた方が良さそうだぞ。

音楽を聴きたいならモーツアルトのものを

音楽を聴くのなら作業前にモーツアルトの音楽なんかを聴くのが良いかもしれない。カリフォルニア大学の研究では作業前に「モーツアルトの二台のためのピアノソナタ ニ長調 K448」を聴くことで知能指数に良い結果が出たみたいだから聴くならこれだ。