最近は紙を使うこともなくなってきて、昔よりメモを積極的に取るっていうこともなくなってきたのではないだろうか。メモを取ることが良しとされていた、いや今でも良しとされているのかもしれないがそれは本当にそうなのだろうか。
果たして本当にメモを取ることが記憶の定着に効果はあるのだろうか。今回はそんなことを追求していきたい。
メモには記憶定着の効果があるらしい
ネットを漁ってみると出てくるのはメモには記憶の定着に効果があるという記事だ。確かに、メモ取れメモ取れなんてバイトや仕事をしていれば、よく耳にする言葉ですよね。
でもそれっと本当なの?本当にメモを取ることがそんなに効果的なのかな?
ちょっと検索方法を変えてみると、逆にこんなことも出てくる。
メモを取ることは記憶力に悪影響だと。
メモを取ることは良い影響を与えると書いてある記事もあるけど、悪影響だと記す記事もある。一体どっちが本当なのだろう。ちなみに悪影響だとするものはある研究に基づいたものだからこっちの方が信憑性は高そうだ。
ちなみに、その研究っていうのがこれだ。
カナダのマウント・セント・ヴィンセント大学のミシェル・エスクリットとシエラ・マーは、学生グループを集めてトランプの「神経衰弱」ゲームを用いた実験を行った。
同じ絵柄の2枚の位置を記憶したあと、カードは裏返して置かれる。プレイヤーはカードを1枚めくってはそのたびに、そのカードと対になるカードの位置を思い出さなければならない。
実験では、記憶のために与えられた時間中、半数の学生にはカードの位置と正体について紙にメモをとる機会が与えられた。そのほかの学生たちは、元から備わっている記憶力に頼るしかない。
また、与えられた時間が過ぎると、メモをとっていた学生たちのメモは没収されてしまう。
両グループはさまざまなカードの位置と正体についてテストされた。そして結果としてわかったのは、メモをとっていたグループの方が、カードの位置を思い出すことについて、ずっと成績が悪かった、という事実だ。
https://wired.jp/2015/01/17/taking-notes-is-no-good/
これをどう見る。これを見る限りでは、もはやメモを取らない方が良いんじゃないかという考えが出てきてしまうなあ。果たして本当にメモを取った方が良いと言えるのだろうか。怪しくなってきたぞ。
論文からメモの効果を読み取ってみよう
さっきの研究結果を見る限り、メモを取らない方が記憶力的には良いんだろうということは分かった。だけど、それだけで結論を出すのはまだ早い。もうちょっと他の論文を見てみようじゃないか。
書けば覚えられる?
まずは、北海道大学の研究例。これは書けば覚えられるかどうかを研究したもので、「書いて覚える」という行為がどれほど役に立つかを調べたものだ。
方法としては、以下の2つのグループに分けて漢字やローマ字等のリストを渡して覚えてもらうというもの
- 書いて覚えてもらう
- 見て覚えてもらう
一方のグループにはリストを5回ずつ書いて覚えてもらい,他方には5回ずつ単に見て覚えても らう 。その後,覚えた内容を思い出してもらい,どちらの成績がよいかを比較する。
この結果わかったのは
漢字,ひらがな,カタカナ,アルファベッ トの単語や無意味つづりは,書いて覚えた条件と見て覚えた条件とで成績に差がないということだ。効果があるのは,無意味な図形や目新しいアラビア文字などの場合。
アラビア文字やよくわからない図形の場合には書いてもらった方が効果があるということだから、普通に意味のわかるものを覚える場合には読んで覚えた方が良さそうだね。
外的補助の利用による記憶力の低下
これは、日常生活でメモ帳などの外的補助に依存した記憶活動を継続的に行なっていると、その外的補助が使えない状態では記憶力が低下する可能性があるんじゃないか?という論文。
なんかもう論文のタイトルからして記憶力低下するんだろうなあ・・・と思うけど、まあ見ていこう。
大学院生20人に対して行われ、以下の順番で記憶力にどのような影響があるのかを調べる実験。
- メモ帳を使わない記憶
- メモ帳を使った記憶
- メモ帳を使わない記憶
この結果どうなったかというと、3番目のメモ帳を使わない記憶実験では1番目の同じ記憶実験よりも記憶力が落ちたそうだ。つまり、間にメモ帳を挟んだ結果一時的に記憶活動が低下してしまったとか。
んー、こんなことがあるのか。色々なパターンを実験して見ないとわからなどうだけど、メモしてそのあとの記憶力が一時的に低下するなら使わない方がいいのかもしれない・・・
メモを取るならパソコンよりも手書きの方が良い?
メモを取るか取らないかではないからちょっと違うけど、メモにもその取り方によって記憶の定着に違いが出るらしい。
pcでメモを取るチームとパソコンでメモを取るチームに分けて以下の3つのことを行ってもらったという。
- 第一部素材の設問は動物名や描写、5W1H に関係する単純な単語記憶を確認す
る内容(第一部単語) - 第二部素材の設問は各組織の名称と職務の内容を答えさせる単語記憶(第二部単語)と組織を階層図で答えさせる構造確認(第二部構造)
- 第三部素材の設問は講演内に含まれる重要語句にあたる単語抽出(第三部抽出)と各センテンス単位の内容理解を確認する記述式解答、及び上司への全体要旨の報告文作成(第三部理解)
結果を見る限り、手書きでメモを取ることの方が良いこともあるけど、パソコンでメモを取った場合の方が効果が良いものもある。手書きで書いた方が色々良さそうだと思ったけど、実はそうでもないのかもしれない。
The Pen Is Mightier Than the Keyboard:Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking
ただ、手書きとパソコンでのメモの取り方に関してはこんな論文もあるぞ。
The Pen Is Mightier Than the Keyboard:Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking
この論文も手書きとパソコンでのメモの違いを実験した論文。この論文では以下のように言っている。
results showed that on conceptual-application questions, longhand participants performed better than laptop-nonintervention participants
パソコンでのメモよりも手書きのメモをした試験者の方が良い結果を得ることができたと。
まとめ
メモに関しての論文は結構ありそうですね。メモを取るか取らないかで言ったら、それを記憶するという点に関してはメモを取らない方が良さそう。
もし、メモを取る場合には手書きの方が良いんじゃないかな。